”ノーベルマザー賞”ものの付録現る

「しない」「遅い」「聞かない」
私達主婦を日々鬼化させるこの3大ワードは、完全一致だとしても休日の夫を簡単にまとめたものではありません。
むしろ平日の母を悩ます種といえば、愛する我が子ではないでしょうか?
特に子供の着替え、歯磨きタイムというのは3大ワードのオンパレードとなるので本当に難儀なことです。
よく育児エキスパート界隈の方々は、「早くしなさい!」という言葉は言ってはいけないと言います。
でも、早くしなさいを言わなかった親が本当にこの世に存在するのか?
生まれつき親の言うことにマッハな速度で行動できる稀な子供でない限り無理な話だと想像します。
とはいえ「早くしなさい」っていう言葉は、たとえ子供サイドに立ってみても言われて良い気持ちはしませんよね。
なので、私もこれ以上は言わないようにと歯を食いしばって生活していますが、そろそろ奥歯がなくなってしまうのではないかと思うほど、我が家の幼稚園児は猛烈に行動が遅いのです。
そんな幼稚園児の朝は、母の優しい声かけ第一弾「そろそろ着替えてね」から始まります。
もちろんこの段階では幼稚園児、微動だにしません。でもいいんです、私からすると朝の挨拶みたいなもの。
でも、時間が過ぎるのは早いので次第にジャブを打ちはじめます。
第二弾「そろそろ着替えないと間に合わないよ」の発動です。
ちょっと語気は荒めになってまいります。
幼稚園児はようやく制服へと手を伸ばすも、とりあえず触れたのみで再びEテレタイム。
そんな茶番を繰り返してるうちに、マジでヤバい登園時間ギリギリのカウントダウンタイムに突入。
これでもまだ動かない時は遂に母の狭い心が爆発。
「早くしなさいって言ってんでしょーがっ!!あんたはいつもいつも最後まで言うこと聞かんでいつもこんな時間になって毎回毎回遅いねん!」
こんな感じがほぼ毎日…親子揃って負のオーラに憑りつかれていますね。
そんなしんどい悩みをここ数年抱えていましたが、ある時何となく買った子供の月刊雑誌の付録に救われることになりました。
その神アイテムというのが”おしゃべりタイマー”です。
機能は実にシンプル。あのプリキュア一味が「お着替えしよう!」とか「歯磨きしよう!」などの掛け声を放った後可愛らしい音楽がスタート、カウントダウンが始まります。
約3分くらい音楽が鳴るんですが、1分前くらいになると音楽がスピードアップ、子供は付録に急かされることになります。
もうたったこれだけ。
さすがに子供からすると、「今月の付録はなんちゅーしょうーもないもん付けてくれとんじゃぁ!」となるかと思いきや…どうでしょう。
「今から制服着替えるから、これでやるね!」と自らタイマーをセットし、音楽が流れてる間に急いで着替えてるではありませんか。
母の第一声から始まって着替え完了まで1時間かかっていたのが、このタイマーを使うとわずか3分で終了。
生身の生みの親より、人工的に作られた付録のほうが子供はすんなりいうことを聞くという残酷な現実。
でも、ノーベルマザー賞なんてものがあるとすれば確実に受賞するだろうというほどの”チート付録”とはまさにこのこと。
どうやら子供はゲーム性のあるものだったらどんなことでも楽しめるようです。
だったら私もと「さぁ、お着替えゲームだよ!ママが歌い終わるまでに着替えなかったら爆発するよ~♪」と朝から血圧が上がるようなことを頑張って実行。
これで成功すれば、世の中のお母さんも「早くしなさい」と本当は言いたくもないことを言わなくて済むのではないだろうかと。
…といった期待空しく、「えー、やだ…」と言い放ったそばからパジャマ姿のままEテレに心奪われる幼稚園児。
どう頑張ったってやっぱり母は鬼にならないといけない立ち位置のようなので、効力のあるうちは950円の付録に頼ることを誓った母なのでした。